© 朝日新聞、栃木県宇都宮市
1996年(平成8年)1月25日(木)

© 朝日新聞
栃木県宇都宮市
1996年(平成8年)1月25日


英会話教室の講師ら
賃金支払い求め
経営社不在のまま閉鎖

 県内を中心展開している英会話教室の外国人講師と日本人従業員十人が、賃金が支払うわていないとして、経営するアメリカンクラブ(本社宇都宮市、山内泰樹代表取締役)に対し、未払い分の賃金計五百十五万円の支払いを求める訴訟を二十五日、宇都宮地裁に起こした。

訴状によると、アメリカンクラブは、宇都宮、小山、真岡、古河(茨城県)の四教室で働いていた講師六人と事務員四人に対し、昨年十一月から今年1月までの計三カ月分の賃金を支払っていないとしている。

弁護士らの話によると、四教室は昨年暮れから今月にかけて事実上、閉鎖されている。宇都宮市内に住んでいた前代表取締役は「今月四日付で解任された。後は頼む」という内容の文書を事務員に送った後、行方が分からなくなっているという。新しく就任した代表取締役は福岡市に住んでおり、一度電話があったきりだという。

一九八六年に設立された同クラブは、バブルの最盛期に比べて、生徒数が半分以下に落ち込んでいた。一昨年にも一度、六人の外国人講師への賃金二百万円余りが未払いになり、裁判で和解した経緯がある。

教室が入っているビルの賃借料や講師たちのアパート代などは最高一年近く滞納され、立ち退きを求められた講師たちは県外の友人宅に引っ越すなどとしている。賃金を払ってもらえなかった講師のなかには、カナダなどの本国へ戻った人もいるという。原告の外国人講師らは「あまり非道的で許されない。お金の支払いが不可能、とにかく筋を通したい」などと話している。